2016/06/26

リオ五輪選考会前 マイケル・フェルプスさんとボウマンコーチの関係にうなるの巻

オリンピック代表を決めるアメリカの水泳選考会が6月26日から始まるということで、マイケル・フェルプスさんの記事をあちこちで見かけました。

ざっくりまとめると、

  • シドニー、アテネ(金6銅2)、北京(金8)、ロンドンオリンピック(金4銀2)に出場。
  • アテネ五輪の後、飲酒運転で捕まる。19歳。
  • 北京のあとは水泳をやめたかった。だけど、スポンサー契約や周囲からの期待があり、やめることができない。まだ23歳。
  • 2009年、水パイプでマリファナを吸っている写真がスクープされる。
  • ロンドン五輪前はコーチとの関係最悪。練習をサボる。(世間はそんなことまったく知らず)
  • ロンドン五輪後、一時引退するも復帰を決意。コーチは乗り気ではなかったものの、引き受ける。
  • サイテーの時期。家族・友人からも孤立する。酒に溺れる。2014年9月、飲酒運転・スピード違反で逮捕。
  • 依存症治療施設に入院→退院。疎遠だった父親との関係を修復しつつある。赤ちゃん誕生。リオデジャネイロオリンピックを目指している。

というかんじで、現在30歳。え?マイケル・フェルプスまだ泳いでるの?と思っている人がいるかもしれませんが、去年は、100Mと200Mのバタフライで世界最高記録を出しているんですよ~。リオでの金だって射程内。

選考会では、100M/200Mバタフライ、200M個人メドレー、100M/200M自由形(余裕があれば)に出場するそうです。

選考会前の記念写真。

A photo posted by Michael Phelps (@m_phelps00) on

みんな楽しそう~。左端には、あら、ライアン・ロクテ選手も。400M個人メドレーに出るそうです。この人も、もう31歳。むっちゃ疲れそうな種目だけど頑張ってほしいです。

さて、マイケル・フェルプス選手。

「自分が嫌いで、なんの価値もない人間だと思っていた。この世界に、オレなんかいないほうがいい。死んでしまったほうがいいってさ」

って、フェルプスさんが2014年当時のサイテーな時を思い出して語る言葉。信じられないでしょ。金メダルを18個も取った人だよ。天真爛漫で、陽のあたる道を突き進むアメリカンボーイだとばっかり思ってたよね、みんな。それなのに、世界一の選手が自分を嫌いって、なぜ?

今まで水泳ばっかしてきたけれど、水泳がなかったら、オレはだれなんだろう?

世界がオレをヒーローとして見ているけれど、それはいったい本当の自分なんだろうか?

って疑問が浮かぶのは、言われてみれば、当たり前すぎるじゃないですか。そしてもっと考えてみれば、マイケル・フェルプスって、あまりにスゴすぎたせいで、フツーの子どもが成長して大人になる自然な過程を踏めなかったんだろうなとも思います。

学校でも、アイツはオレたちとは違うという目で見られただろうし、それはスイミングクラブでも同じだったんじゃないかな。同等の友達とじゃれあって、ケンカしながら自分の場所を見つけるっていう、当たり前のことができなかった。

アテネオリンピックの前年、世界選手権で18歳のフェルプスさんは5種目の世界記録を更新します。

1コめの世界新記録を出した後、フェルプスさんが食堂に入ってくると同僚の選手から大きな拍手で迎えられました。だけど、2回、3回と繰り返すうちに拍手はだんだんと小さなものに。最後の方では、ただ手を合わせるだけ。

コーチのボウマンさんはその時のことを鮮明に覚えています。

「次のオリンピックでのオレの場所を取るつもりかよ?って他の選手が思っているようだった」

こ、これって孤独すぎるだろ。同じ競技をしているからこそ分かり合える選手同士なのに、やはり避けられない嫉妬やねたみ。

自分がすごすぎるために、自分を分かってくれる人がいないんだよ。水の中でも外でも。

お前はここ(表彰台の一番上)って決められて、どこにも行けない。泳ぐっきゃないっしょ。一人で。(うわ・・・つらそう・・・)

フェルプスさんは11歳の時にボブ・ボウマンさんと出会うわけですが、2人の関係も相当激しいものでした。ADHD(集中力がなく衝動的)と診断されていたし、とにかくガンコでわがままで扱いにくい子どもだったようです。

でもそれに負けず劣らずボウマンさんも頑固者で、ぶつかり合いばかり。フェルプスさんが水のボトルをコーチの頭めがけて投げつけたり、汚い言葉で罵ったり。(「マザーファッカー」ってコーチに怒鳴るってどんなガキ・・)

トレーニング施設のドアにはボウマンさんが怒って蹴った凹みが。ボウマンさんが壁に投げつけて壊したストップウォッチも。

わざとコーチを怒らせるような行動をしたり、言うことをきかなかったり、そうかと思えば集中しまくってみんなが驚くような泳ぎを見せたり、ということの繰り返しだったとボウマンさんは語ります。

ティーンエイジャーが反抗するのは当たり前のことだけど、こんなやつを指導するって、ボウマンさんも大変だったよね・・・。

「マイケルは気がついていないけど、コーチと父親が重なって、父に捨てられた不満をぶつけてくるんだよ」とボウマンさんにアドバイスしてくれた人もいたそうですが、そう納得しても、二人の関係は悪くなるばかり。

ロンドンオリンピック前は、すべてがうまくいっているようなフリを全世界にしながら、練習は最低限テキトーにやるだけだったフェルプスさん。何も言わずに練習をサボり、駐車場ではコーチと怒鳴り合い、中指を突き立てる大喧嘩。飛行機でボウマンさんの隣に座りたくなくて、わざわざ別の飛行機のチケットをとることもありました。

ろくに練習しなかったにもかかわらず、ロンドンでも4つの金メダルを獲得。

けど自分を見つけられないフェルプスさんは自暴自棄になってお酒を浴びるように飲んで、2014年に飲酒運転で逮捕されることになります。

当時を思い出してボウマンさんは語ります。

「アイツはね、残りの人生をどうしたらいいか分からなかったんだ。私もひどい気持ちだった。こんなことを言ったのを覚えている。『マイケル、お前は同年代の人よりもずっと金も持ってる。世界中への影響力だってある。時間だって好きなだけある。なのに、なんでそんなに惨めなんだよ?何でだ?』って」

その後、依存症厚生施設に入所して治療をうけることにしたフェルプスさんですが、ボウマンさんはあまり期待していなかったそう。

「彼が変わるとは思っていなかった」

「アイツは、人間であることを12年間隠し続けてきたんだ。治療が彼を開いてくれたんだよ」

今は、疎遠だった実の父親との関係もよい方向に向かっています。

今回のリオ五輪に望む理由として、フェルプスさんは、後悔を残さず引退するためと語っています。2012年のロンドンオリンピック前後に、テキトーな練習してたこと。ひどい態度・行動をとっていたこと。それが心にひっかかっています。

「自分のすべてを出し切りたい。後悔したまま、あとの人生を送りたくないからね」

フェルプスさん自身も父親になりました。赤ちゃんの名前はブーマー・ロバート・フェルプス。ミドルネームのロバートは、ボウマンさんの名前(ロバートの愛称がボブ)からもらったそうです。

そして選考会前の記者会見では、ボウマンさんのことを「ボブおじいちゃん」(グランパ・ボブ)って呼んでた。

ボウマンさんも、よくここまで来たよなって思ってるんじゃないでしょうか。

11歳の頃からずーっと見てきたもの。苦しかったときもサイテーの時も。こんなヤツとやってられっかー!って思ったことも数え切れないほどあったと思うけど、でも、ずっと傍にいた。師弟関係というよりも、もっと強い人間の絆みたいなものがあったんだなあ、なんてことを思いながら、選考会を見たいと思います。

記者会見では、2人ともぜんぜん意気込んでなくって、「まー、どんなふうになるか、2、3日後には結果が出るよね」ってかんじでした。「競技会の前にイケるって思ったことは、ないんだよね~。ひどいことになるんじゃないかと思ってて、マイケルがそれを裏切ったことはあったけど」とリラックスムードのボウマンさんでした。

ほんと楽しみ。どうなるんだろう?

・・・って書いてたら、ライアン・ロクテ選手は400M個人メドレー3位に終って、リオには出られないというニュースが。うう、残念。

マイケル・フェルプス、がんばってな!


[UPDATE]

6月28日
マイケル・フェルプスさん、200Mバタフライはダントツの速さで、明日の決勝に進出。200M自由形には出場せず。
ライアン・ロクテさんは200M自由形4位。種目の代表ではないけど、リオのチームメンバーには選ばれました。初日にケガをして、それをだましながらの出場です。

6月20日
200Mバタフライ余裕の1位でオリンピック出場決定。5回目の五輪。


200M 個人メドレー。2位にロクテ選手。全ビデオはここ


100Mバタフライ。50M4位から巻き返し!


ということで次はオリンピックだよ。

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もっと!マイケル・フェルプス!

★ マイケル・フェルプス 400m自由形リレーの鬼ターン@リオ

★ #phelpsface マイケル・フェルプスのコワーい顔

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