2017/03/26

コンカッションダイアリー:脳震盪とCTEに苦しんだ高校生の記録

頭部に激しい衝撃を何度も受けると、脳に決定的な傷がつき、様々な障害を引き起こす。例えば、感情の起伏が激しくなる。鬱になる。物忘れをする。激しい頭痛が続く。そうした脳障害をCTEと呼びます。

プロフットボール選手が引退後にCTEを発症したという話は、今までに何件も聞きました。でも今回は、高校でフットボールをしていた選手がCTEに苦しみ、24歳で自らの命を絶ったという話です。今年1月、雑誌GQに掲載されました。

「頼む!僕のコンピューターを見てくれ。僕の話を印刷して皆に知らせてほしい。最後の願いを叶えてくれ。コンピューターのパスワードはzacman」

という走り書きをベッドの上に残したザック・イースター。コンピューターには「コンカッション:沈黙の闘い」と題した文書39ページが残っていました。死後はこれを公表してほしい、自分の脳はコンカッション財団の研究に寄付してほしい、という遺言も。



「僕は小学校3年の時からフットボールを始めた。兄がチームに入っていたし、父がコーチをしていた。ラインバッカーとフルバックのポジションをずっとしてきた。僕が一番激しいヒットをするラインバッカーとして知られていたと思う」

「この頃から、僕は頭を武器としてプレイすることを学んだ。どのプレイでも、ずっと頭を低く構えてプレイしてきた。僕は他の選手に比べて背が低かったが、頭を下げてぶつかれば、戦いに勝てた。そうすれば、コーチや選手からも注目された。

今思い返してみると、練習の時にも頭痛があった。だけど、コーチや友達には、タフなハードヒッターだと評判だった。そう言われるのが嬉しくて、練習や試合で頭痛がするなんて言いたくなかったんだ」

「6年生の時には、ゴリゴリ走り抜けるフルバック、ランニングバックになった。僕はチビで太めだった。だけど、ボールを持ったらラインバッカーを押しのけて走った」

「僕は父に証明したかった。兄のようにフットボールができるところを見せたかったんだ。校長や先生に、どうして兄みたいな良い生徒じゃないのかと言われることに嫌気がさしていた」

「父は恐ろしくタフなフットボールコーチで、イースター家の者は、いつ、どんな時でも鋼のように強靭でなければならなかった。弱みを見せるな。怪我をしても試合から降りるな」

「僕の脳震盪は、父のためだったのかもしれない。父に認めてもらって、自分がタフだと思いたかった。今はすべて後悔している。スポーツなんかしなければよかった」

ザック・イースター最後の試合となったのは、2009年、高校3年生の10月。8月、9月にも脳震盪を経験していました。9月の脳震盪の後は、ザックが寄り目になっていたとチームメイトが語っています。「医者に診てもらったが、症状は全部ウソをついた」と日記には記していました。

「正直に言うと、激しい頭痛が毎日続いていた。吐き気、めまいもずっと。だけど、僕はタフだ、大丈夫だ、と自分に言い聞かせた。吐き気がして汗が出て、教室を退室したこともあった。この頃から鬱病になったかもしれない。故障で練習を休むなんて恥ずかしい」

トレーナーの許可を得て出場した試合でしたが、第3クォーターの衝突で脳震盪。チームメートに引きずられてベンチに戻って来た彼は、ヘルメットを脱ぐと頭を下げて泣き出しました。頭はガンガン鳴っていましたが、救急処置をほどこすような症状はありませんでした。

「最後の脳震盪を機に何かが変わった。鬱がひどくなり、不安障害もでてきた。感情がコントロールできない。理由もないのに人に当り散らした」

大学に進学したものの、後遺症はひどくなるばかり。頭の中では雷が鳴っているよう。車を運転中、どこを走っているかを忘れる。買い物に行った店で、何を買いに来たのか思い出せない。幻聴が聞こえる。ルームメイトにはアルツハイマーになったんじゃないかとからかわれる。不安から、ザックは処方薬、酒、ドラッグを乱用するようになります。

「正気でいるためにドラッグに頼りすぎている。止めなきゃいけないけれど、同時にやけっぱちにもなる。自分の将来が怖くて落ち込む。ネットでCTEの情報を見つけた。もう二度と見ない」

就職もしましたが、商談中に何を話しているか分からなくる。ろれつが回らなくなる。最後の試合から6年経って、ザックは、診断を受けた5つの脳震盪と、頭を武器として使ったことによる多数の打撲が、症状の原因だと確信します。

医者の診断を仰げば、多分CTEだろうという答え。言語療法士に会い、セラピーにも通いましたが、精神科医には「最後は文無し、ホームレスになって精神病院に入るだろう」と告げられました。

とうとう2015年6月、24歳の誕生日に、ザックは今まで隠してきたCTEとの闘いを両親に告白します。唖然とする家族。NFL選手がCTEを患うというニュースを見ても、この時まで父親は本気にしていませんでした。

2015年11月には、1度目の自殺未遂。銃を持って湖畔にいるところを父親と警察に保護されます。

クリスマス後には、カリフォルニアにあるアルコール依存症と精神病施設に入院することになっていたザックですが、そんなことをしてもしょうがないと、乗り気ではありませんでした。

そして12月19日の午前12時24分。今までの感謝を伝える不吉なメッセージが、ザックのガールフレンドの携帯に届きます。ザックの兄が実家に連絡し、父親が部屋に行ってみると、殴り書きのメッセージがベッドの上に散らばっていました。

父親がザックの12歳の誕生日にプレゼントしたショットガンがない。弾丸も。母親の車も消えている。

父親が湖に直行すると、そこにはもう警察が。ザックは駐車場で自分の胸を打ち抜いて、亡くなっていました。

4日後の葬式に出席し、高校のフットボールコーチは自分に問いかけます。「これは、私の責任なのか?」と。

コーチもスタッフも、正しいタックル法を教えてきた。しかし、攻撃的であることを止めさせようとしたことがあっただろうか。どちらかといえば奨励してきた。ザックはその典型だった。

コーチ自身、高校時代には、親友がヒットを受けて脳障害を患った。車椅子の生活を送り、やがては亡くなった。2008年の練習中には、ラインバッカーの生徒がキックリターンの際にヒットを受けて頭部を打撲した。意識不明になって救急車に乗せられたが、その時、ザックはフィールドにいたはずだ。こん睡状態が3週間続いて、そのあとリハビリ施設に入院した。完全には回復できず、23歳の今でも両親と一緒に住み、依存症に苦しんでいる。

この二つは事故かもしれない。だがザックの場合は?

「棺の中に横たわる彼を見て、思わないわけにはいかない。こんなことは、もうたくさんだと」

「私は両方見てきた。フットボールの喜び、大勝利の瞬間。しかし、葬式にも参列してきた。フットボールは、する価値のあることなのだろうか?そう思ったことは何回もある」

そうコーチは語っています。

ザックは家族に指示を残していました。自分の文書をフェイスブックに載せてくれ。そしてCTEのことを世間に広めてほしい。みんなに真実を知ってほしい。

ザックの脳は、映画「コンカッション」のモデルとなったオマル医師のところへ送られる予定です。家族は、CTE Hopeという非営利団体を創設し、頭部外傷についての教育、脳震盪の予防、研究に協力していくつもりです。ウェブサイトは、www.cte-hope.orgとのこと。

2017/03/23

デカくても、たくましく走ってほしいRBエディ・レイシー

フリーエージェントで選手がいろいろ動いていますが、シーホークスにはランニングバック、エディ・レイシーさんがやって来ました。

2013年のドラフト2巡、全体61位でグリーンベイ・パッカーズに指名された選手です。いきなり1178ヤードを記録して攻撃最優秀新人賞に選ばれ、2年目も1139ヤード。しかし3年目は758ヤード、4年目の2016年は、足首の怪我で5試合出場360ヤードに終わりました。

成績は落ちているものの、可能性はまだまだ。なので、パッカーズと契約更新するのだと思っていました。ヘッドコーチのマッカーシーさんは、「レイシーに戻ってきてほしい」と言っていたし、アラバマ州でリハビリ中のレイシーさんに会いに行ったとも報道されていました。

シーホークスとの契約は1年5.5億円(強)で、そのうち約3億が保証。目標体重を維持できたら月に550万円もらえるというボーナスがついています。

現在267パウンド(120 kg)という噂ですが、5月に255、6月8月に250、9月から12月まで245パウンド(110 kg)というのが目標です。

レイシーさんの大学時代の公称体重は235パウンド。しかしプロになってからは、ずーっと太ったとか痩せたとかニュースになってきました。

2015年のシーズン後には、マッカーシーコーチに「もっと頑張ってもらわんと。去年のオフシーズンで失敗して、それからリカバリーできなかったんだ。今年みたいな体重でプレイはできんよ」なんて言われていたし、QBアーロン・ロジャースさんにも減量を示唆されていたそう。

「ロジャースが言ってたのはさ、オレがもっとパスゲームにからんだり、いい選手になりたかったら、それもいい考えだってことだよ。もう少し敏捷になるってことで」

「だから、べつにそうしなくてもいいんだ。ちょっと上手くなるってだけだから」

とは当時の言葉ですが、なんという言い草ww

「あんた、自分の可能性を無駄にしているよ!ベストの選手になろうと思わんのかい!?」と肩をつかんで揺さぶってやりたい。あんた、プロやねんで?!って。しかし、レイシーさんは、食べることが大大大大好きなご様子・・。

「食いモンのことしか考えられない・・・ソニック、さあ行くぜ」

「アパートで荷造り中・・・食べ物を差し入れしてくれる優しい人はどっかにいないかな」

「食いまくってる・・・体重を落とすハズだったのは承知の上・・・」

「テディベアのグミを30分間食い続けている」

「中華料理を食べに行くぜ」

「この、今から食べる中華料理が、なんとも>>>」

「ウーン・・まず中華料理だ。それから部屋に帰ってきて掃除。昨日しなかったからな」

などという過去の食べ物系ツイートをまとめて記事にされている人でもあります。

素晴らしいです、この食べ物に対する愛情。そうか、そんなに食べたいのなら、気のすむまで食べさせてやりたい。ロジャースさんやマッカーシーさんにブツブツ言われないところで・・・。

というわけでもないでしょうが、シーホークスのヘッドコーチ、ピート・キャロルさんは「デカくていい。デカくて、タフで、強い彼がいいんだ」と言っています。「だけどね、ベストの体型でいてほしい。彼にとって最高の走り、耐久力、回数をこなせるような」とのことで、245パウンドまでなら許容範囲らしいです。

シーホークスのランニングバックさんたち、トーマス・ロールズさんやCJ・プロサイスさんもウカウカできませんね!こうなっては練習にも気合が入るでしょう。第1バックは誰になるのかな~。

この1年で結果を残さねばと、レイシーさんも本気になっていると思います。足首の怪我、そしてこれまでの脳震盪2回も心配ですが、ぜひチームの力になってほしいです。

ということで、レイシーさんのゴリゴリ走り。レイシー、行け~!

2017/03/19

NFL鎮痛剤乱用についての裁判報告書

先週のことですが、NFLの鎮痛剤乱用に関する報告書がニュースになっていました。

NFLチームは、連邦が制定した薬物保管法、服用記録、運搬法の規定を守らずに処方薬を使用していた。選手に対し、どんな薬か、どんな副作用があるかの説明を怠っていた。それが原因で、今でも内臓疾患や慢性の痛みに苦しんでいると、NFLを引退した選手1800人が集団訴訟を起こしています。その報告書の一部が公表されました。

フットボールをしていれば怪我は避けられない。怪我をしてもプレイをするためには痛み止めが必須。副作用、後遺症を考えれば、強い薬の多用は避けたいが、しかし、やむを得ない・・というこの現状。

選手が鎮痛剤を多用していることは、これまでにも報道されていました。試合前のロッカールームでは、トラドールという強い鎮痛剤をお尻に注射してもらう選手が列を成し、それはTトレインと呼ばれている――という話もありました。

チームドクターは気軽に鎮痛剤を処方してくれるようだ、とも聞いた事がありますが、この報告書では、具体的な数字が挙がっています。


問題となっている鎮痛剤は、まずトラドールtoradol。依存症になることはありませんが、国によっては、手術後に病院内でしか使用されない強い薬です。錠剤、または皮下注射で服用します。

次に、バイコディンvicodin。オピオイド(アヘン物質)を成分とする薬なので、依存症になる場合があります。

そしてNSAID。炎症を防ぐ、痛みを和らげるなどの効用があります。

報告書に記載されたいくつかの事例を挙げると・・・

● 2010年、サンディエゴ・チャージャーズの選手が路上検問で止められた際、バイコディン100錠を所持していたことが発覚。麻薬取締局がNFLの調査に乗り出す。当時のチームドクターは2013年にチームを去ることに。

● 2009年シーズン、ニューヨーク・ジェッツが消費したトラドールは1178回分。バイコディンは1564回分。

1178をロースター53人で割ると22。選手一人当たり平均でトラドールを22回服用したことになります。もちろん、使用回数の少ない選手もいるでしょうが、22をはるかに上回る数で服用していた選手もいるはず。どのくらい上回るんだろう、と考えると、ちょっと空恐ろしいような気がします。

● 2012年シーズンにピッツバーグ・スティーラーズは7442回分のNSAIDとその他の処方薬を2123回分使用。(これでもNSAIDの使用量はリーグ10位、処方箋薬は14位)

● 2011年の調査では、644人の引退選手の22%が、現役時代に毎日6錠以上の鎮痛剤を服用していたと答えた。

● 2014年、32チーム中27チームから返答を得た調査では、平均26.7人(53人ロースターの半分以上)が、試合の日に少なくとも1回分のトラドールを使用。

2014年という、ごく最近の調査ですら、これ。私たちがテレビで試合を見ているその時、画面に映っている選手の半分以上が、強烈な鎮痛剤を投与しつつプレイしているということになります。

試合中に起こる怪我を予測して、あらかじめトラドールを打っておく。そういう場合も多くあるそうです。

リサーチが進み、鎮痛剤の過剰摂取による障害が明らかになるにつれて、昔のようにホイホイと医者が鎮痛剤を渡す、選手もそれを気軽に服用する、ということは少なくなってはいるでしょう。

しかし、フットボールをプレイする以上、痛みとどうやって付き合っていくかは、これからもずっと考えなければならない。事実を明るみに出す。そして、選手もリーグも鎮痛剤の危険性をしっかり認識する。そこから、少しずつ変えていくことになるのでは。

マリファナが合法化された州もあるので、鎮痛剤としての効用の研究もこれから盛んになるでしょう。NFLでは現在禁止となっていますが、将来は変わっていくのかもしれません。

脳震盪と鎮痛剤。NFLのダークサイド・・・。

2017/03/15

デマーカス・ウェアにとっての最高の試合

デンバー・ブロンコスのLBデマーカス・ウェアさんが引退を発表しました。

34歳。ダラス・カウボーイズで9年、ブロンコスで3年プレイし、2017年はフリーエージェントとなっていました。9億円のオファーもありましたが、ユニホームを脱ぐ決意をしたとのこと。

昨シーズンは第2週に肘を骨折。手術後には復帰して計10試合に出場しました。しかし12月末には、かねてから痛めていた腰の手術をすることに。

チームメイトのボン・ミラーさんは

「デマーカスは、フェラーリさ。ブレーキに問題が出たかもしれないけど、ガスはまだ残ってる。ブレーキは直せるからね。戻ってくるよ。彼はチャンピオン、リーダーなんだ」

なんて言ってたんですけどね。ミラーさんをはじめ、若手選手を指導して人望も厚いウェアさんでした。フィールドの中でも外でも見本となるような人柄で、ロッカールームでの存在感も圧倒的だったようです。エマニュエル・サンダースさんは「ディフェンスのペイトン・マニング」と呼んでいました。


引退発表後のインタビューを抜粋してみると・・・

「体の調子はいい。若々しく感じる。あと2、3年はプレイできる確信はある。しかし、現実的にならないと。今は良くても、どのくらいもつのか。34、35でどれほど耐えられるのか。怪我が避けられないようなことをするのに」

「フットボールは私に良くしてくれたし、フットボールを愛している。これからもだ。もちろん、プレイしたい。しかし、理性より情熱をとることはできない。敬意と共に立ち去るよ。ファンに、家族に、チームメイトに、どの試合でも自分の全てを捧げてきた。100パーセントだ」

昨年はスーパーボウルでミラーさんと共に大活躍し、サック2回。猛烈なパスラッシュで勝利に貢献しました。選手生活で一番心に残っている試合は、スーパーボウル優勝と思いきや、2009年のニューオーリンズ・セインツ戦だと語っています。

当時、ウェアさんはカウボーイズに所属。2連敗し8勝5敗となった後、13勝0敗のセインツと対戦した12月の試合。

「前週のサンディエゴ戦で、正直、首の骨を折ったと思ったんだ」

頭から相手と激突したウェアさんは、担架で運ばれました。チームの人が細心の注意を払ってヘルメットを脱がせてくれたそうです。身体の方が大事だ。試合には出なくていいと告げられましたが、ニューオーリンズへ同行しました。

「ロッカールームにいて、感じたんだ。フットボールっていうのは、理解してほしいんだが――自分のためにするんじゃない。チームメイトのためにプレイするんだ。私はずっとそうしてきた。

誰も何も言わなかったけれど、分かった。D-ウェア、オレたちにはお前が必要なんだ。まる一週間、防具をつけてはいなかった。この試合に勝たないと、プレイオフに行くチャンスが無くなるんだ。

試合前にヘルメットをつけて、選手と頭をぶつけてみた。試しに。大丈夫だった。それでイケると思った」

この試合でウェアさんは、サック2回、ファンブル誘発2回。セインツはターンオーバー2回で敗戦を喫し、カウボーイズはNFC東地区1位でシーズンを終えました。

「自分にとって大きな試合だった。ディフェンスのキャプテンだったが、それよりも大きな信頼を得た。『この男は戦士だ。思ってたとおりだ』と。私にとっては敬意が全てだ。自分よりチームが大事だ」

「しかし、今度は自分を先に置く。家族をまず先に置くよ。さあ、見てろよ。行くぞ」

ということです。ウェアさんは、引退前にはロスアンゼルス・ラムズを訪問し、ウェイド・フィリップさんと面会したとも報告されています。フィリップさんは、カウボーイズでウェアさんのヘッドコーチ、ブロンコスではディフェンシブコーディネーターでした。どんな話をしたんでしょうね・・・。

では、セインツ戦の最後の場面。


そして、引退記念のハイライト。1:32で「背中にロモって書いてあるけど、これどんな意味?」ってQBトニー・ロモさんをからかっています。フイをつかれたロモさんが「あ・・スーパーマンかな?」ってところがww好きw


お疲れ様でした!

2017/03/13

ジョーダン・キャメロン:フットボールを好きでやってるヤツはそんなにいない

3月10日、マイアミ・ドルフィンズのタイトエンド、ジョーダン・キャメロンさんが脳震盪の影響を懸念して現役引退を発表しました。

現在28歳。クリーブランド・ブラウンズで4年、マイアミ・ドルフィンズで2年プレイし、2013年にはプロボウルにも選ばれた選手です。昨シーズンは第3週ブラウンズ戦でプロ入り4回目の脳震盪を経験し、IR(故障者リスト)となっていました。

「脳震盪のことばかり考えてしまう。こんな状態でフットボールはできない」

と語っています。現在は全く症状がなく、お医者さんからもOKをもらっていますが、将来を考えると、リスクを犯してまでフットボールを続けることは出来ないと判断しました。


報告された脳震盪は4回ですが、小さい時からずっとフットボールをしてきたら、頭を打ったことは数え切れない程あるはず。コンカッションプロトコル入りして、毎日脳神経外科医の質問に答えて、テストをして、将来、後遺症に苦しむのでは?と不安を抱えて過ごすなんて、誰だって気が重くなります。引退を考えるのも当たり前。

このキャメロンさん、後日、「ほとんどの選手は、フットボールを好きでやっているわけじゃない」と発言していました。

「たいていのヤツは嫌いだと思う。皆それぞれの理由でプレイしているんだ。その理由がその人にとって重要なら、フットボールが好きじゃなくてもプレイできるさ」

「-10℃で、120kgの男にヒットをくらって、そんなのが好きなヤツなんてどこにいるんだ?『フットボールが好きか?』なんて、そんな質問には我慢できない」

脳震盪が怖くて、躊躇してプレイしたこともあると認めているキャメロンさん。フットボールには感謝しているし、競争すること自体は楽しかったと語っています。一番の喜びは、チームメイトたちとの連帯感でした。

「今まで逢ったいい人たちは、たいがいフットボール選手だったよ。みんなロッカールームが恋しいって言うけど、本当にそう。地に足が着いた、聡明な人間がいるんだ」

「フットボールが好きな人もいる。レイ・ルイスはフットボールが好きだ。ペイトン・マニングも。だけど、たいていの選手は、好きではない。これを読んだ選手は、オレの言っていることが分かると思うよ」

こんなふうに言われると、ファンとしては、残念な気持ちが隠せません。でも、実際のところ、納得できるところも。

私たちはヒーローとして選手を見ているけど、本人にとってはバラ色なところばかりじゃない。どんな仕事をしていても嫌なところはあるだろう。ましてや、フットボール選手が体に受ける負担は大変なもの。スター選手でもなく、2、3年で使い捨てにされる選手だってたくさんいることだろうよ・・。

というようなことを、ふと思ってみました。

2017/03/12

オスワイラー獲得のブラウンズからしばし目が離せないかも・・・

フリーエージェント解禁で、動きが騒がしいNFL界隈です。今週は、ヒューストン・テキサンズのクォーターバック、ブロック・オスワイラーさんがクリーブランド・ブラウンズへトレードという大ニュースが。

去年、デンバー・ブロンコスからテキサンズへ移籍したオスワイラーさん。4年で72億円(強)、そのうち37億確定という大型契約で話題になりました。しかし、成績は奮わず先発を下ろされるハメに。ヒューストンのファンにも愛想を尽かされて、ブーイングの嵐でした。

トレードで、厄介払いができたテキサンズ。一方、ブラウンズは、来年のドラフト指名権が狙いだったようです。102億円のキャップスペースがあるので、少し金を使っても懐は傷まないってことですね。

テキサンズが差し出したのは、オスワイラー(2017年給与16億円)+2018年ドラフト2巡指名権+2017年6巡指名権。それをブラウンズの2017年4巡指名権とトレードです。

その結果、ブラウンズのドラフト指名権はこんな。


ブラウンズは、オスワイラーさんをキープするつもりはなく、さらにトレード先を探しているとのこと。溜め込んだドラフト権と、ニューイングランド・ペイトリオッツQBガロポロとのトレードを狙っているという話も。また、トレード先がない場合、オスワイラーはカットとも。

なんとまあ大胆な。そして、こんな動きのウラにいるのが、フロントトップのサシ・ブラウンさんと、その右腕ポール・デポデスタさん。2人とも去年のオフから現職に就きました。

デポスタさんは、映画「マネーボール」でジョナ・ヒルが演じた分析家のモデルとなった人。各種統計を選手評価に活かし、弱小チームだったMLBオークランド・アスレチックスを蘇らせました。

その後、LAドジャース、NYメッツなどを経て、2016年にNFLへ。ハーバード大学では野球とフットボール(ワイドレシーバー)をプレイしていた統計・分析の専門家です。NFLでも、何か新しい分析法、デポデスタ法とでもいうようなものを見せてくれるのかもしれません。

NFLでは、2014年からショルダーパットにチップを埋め込んで、選手のポジション、動き、速さなどを記録しています。このデータから何が分かるかというと、例えば、クォーターバックが一番オープンになっているレシーバーへパスを投げたかどうか。膝の手術後復帰したパスラッシャーが、手術前と比べてスピードに違いがあるか。相手のセーフティが3rd downで、どの方向に何インチ位置を変えたか。そういうことが、一瞬で分かるんだそうです。

すごいですね。こんなデータを有効に使えるチームが、力をつけていくのかもしれないし、こういうところがデポデスタさんの腕の見せ所なのかも。

でも、なんにしても数年経ってみないと結果は分かりません。ドラフト指名権をたくさん持っていても、ブラウンズは、プロで通用する選手を指名することができるのか?新人を育てていくことができるのか?データだけでは分からない選手の特質みたいなものはどうなんだ?と、疑問もいろいろ。

ブラウンズは、QBジョシュ・マッコウン、QBロバート・グリフィンⅢも解雇しました。去年ドラフトでとったコーディ・ケスラー先発でいくつもりなのでしょうか。そういうところも気になります。

有名どころのフリーエージェント選手も、まだたくさんウロウロしているところ。ちょっとしばらく各チームの動きが気になります。ドヒャー!という動きが必ずありそう・・・。

2017/03/09

ブランドン・マーシャルがジャイアンツのNo.2レシーバーへ

WRブランドン・マーシャルさんがニューヨーク・ジャイアンツと契約しました。2年で12億円(強)という話。

自ら願い出て、ニューヨーク・ジェッツにリリースされたのが数日前。今月末に33歳になるマーシャルさんは、これまでにプロボウル選出が6回と、誰もが力を認める選手なのに、プレイオフに出場したことはありません。そろそろスーパーボウルをねらえるチームに行きたいということで、今回の移籍になったようです。

契約書のサイン。・・・ずいぶんカンタンなサインやね・・・。


2006年のドラフト4巡でデンバー・ブロンコスに指名され、2年目にはチームのナンバーワンレシーバーとなりました。マイアミ・ドルフィンズ、シカゴ・ベアース、NY・ジェッツと移籍しましたが、どのチームでもナンバーワンレシーバーとして活躍しました。

しかし、ジャイアンツではナンバー2として、チームに大いに貢献する意気込みです。契約のニュースが報道されたあと、さっそくニューヨークのラジオに出演して、インタビューに答えていました。

「オレはナンバー1レシーバーじゃない。それはNFL一番のスーパースター、オデルだよ。ナンバー2は2人。オレと、シェパードさ」

「オデルとは友達さ。2年くらい付き合いがある。去年、彼の行動が問題になったときには、オレの意見をアドバイスをしたし、彼も心情を話してくれた。力になれたかな」

そうです、去年はオデル・ベッカムが(ジョシュ・ノーマン戦で)ムキになりすぎて批判されていたんでした。その時、ブランドン・マーシャルさんはベッカムを擁護していましたよ、そういえば。

ジャイアンツのコーチ、マカドゥーさんが記者会見で「オデルには自分をコントロールしてもらわないと」と非難がましく語ったのに対して、「そういうのはロッカーでオデルに直に言っておけばいい。表で言うことじゃない。チームはもっとオデルをサポートしないと」というようなことを言っていました。

「分かるんだよ、そういうの。オレだってそういう選手だったんだ。昔はオレだって、いつもキレてた。今は時々になったけど。彼だって経験が糧になる。いいことも悪いことも。オレなんか11年やってきてるんだよね」

と語るマーシャルさん。ベテラン選手らしいですね!頼りになりそうですね!なにかと青い若手選手の見本となってサポートしてくれたらコーチ陣だって助かりそう~。そういうところでも期待したいです。

QBイーライ・マニングさんはさっそく連絡をくれたそうです。4月にはレシーバー陣と自主トレを計画しているとのこと。これまで、自分のクォーターバック(ジェイ・カトラー、ライアン・フィッツパトリック)を褒めて褒めて褒めまくっていたマーシャルさん(「カトラーはMVPにだってなれる」と断言してヒンシュクをかっていたですよ・・・)ですから、イーライとも仲良く息のあったところを見せてくれるんじゃないかな。

ということで、来シーズンのジャイアンツがなかなか楽しみです。

・・・でも、アレですよね。ジャイアンツはWRビクター・クルーズさんをカットして、ブランドン・マーシャルに乗り換えたってことですからね・・・プロの世界なんだからそんなの当たり前なんですけど、クルーズさんにしたら、チェーそう来るかよ・・ですよね・・・ビクター・クルーズはどこに行くのかなぁ・・・。

ブランドン・マーシャルさんは、さっそくジャイアンツの練習施設でトレーニングしていましたよ。張り切ってるで。



2017/03/06

ドラフト1位指名当確らしいよ マイルス・ギャレット

またもやNFLコンバインの話題。

テキサス農工大のディフェンシブエンド、マイルス・ギャレット選手が、なんだかスゴイらしいです!もうドラフト1位指名はこいつに決定だ!と報道陣が盛り上がっていました。

まずは、垂直跳び。


むむむ。身長193cm、体重123kgという巨体でこんなに跳ぶのは、たしかにすごい。オデル・ベッカムより跳んでる・・・。こんな写真載せやがって、オデルは熱くなっていると思います。さっそくジムに飛んでって足腰を鍛えているんじゃないかな。オデル、ガンバ!

そして、他の種目でも、軒並みすごい数字をたたき出したギャレットさん。


フリオ・ジョーンズより高く、ロブ・グロンコスキーより重い。デボンタ・フリーマンより敏捷で、ジャービス・ランドリーより速い。らしい。

へぇー。WRランドリーさんより速いのはすごいかも。このデカイ体で。

そして102kgのベンチプレスを33回。


どうですか?すごい?私は、まぁ、へぇーってだけですが。マッチョだからって特に感慨はない。でも、コンバインでは盛り上がっていた様子です。

素晴らしい身体能力を見せつけたギャレットさんは、ドラフト1位指名を確実にしたというもっぱらの噂。そして、今年のドラフト1位指名権を持っているのは、クリーブランド・ブラウンズ。

えっ、そこには行きたくない・・・。そう思った彼は、先月、ダラス・カウボーイズのGMジェリー・ジョーンズさんに向けて、トレードを嘆願するビデオを投稿していました。

「ジェリー、聞いてくれ。ギャレットさんも(注:カウボーイズのヘッドコーチ)。ダク・プレスコットが、現在うちのチームを引っ張っている。トニー・ロモをトレードに出してくれ。指名権を2つくらい付けて、クリーブランドにやってくれ。そしたら僕を指名できる。お願いだ。ダラスでプレイしたいんだ。叶えてくれ」

って。

なーにを言っとるんだ、コセガレがぁー!ロモさんをなんだと心得るーー!ひかえひかえーーッ!

と思わず印籠を出しそうになりましたが、ま、子どもですからね。テキサス州出身だし、カウボーイズのファンなんだろうし、自分がどうしても行きたいから素直な気持ちが出ちゃったんでしょう。ということで、まあスルーします。

こんなことを言ってブラウンズに失礼だったと、後日反省していたし、コンバインでの面接でも、きちんと謝ると言っていました。

ま、でも生意気そうな臭いがぷんぷん~。ドラフトはどうなるんでしょうか。ブラウンズはこの人を取るんでしょうか?それともクォーターバックか?

猛烈パスラッシャーになりそうなギャレットさんですが、「サックしたいクォーターバックは誰?」という質問には、「トム・ブレイディ」と答えていました。「僕、ペイトン・マニングのファンなんだよね」とのことです。

ほほう~・・・来シーズンはそんなシーンが見られるのかも。

恐竜にすごく詳しくて恐竜博士だという話もしていましたよ、この人・・・。

2017/03/05

コンバイン40ヤードダッシュで新記録!のWRジョン・ロス

NFLは今週コンバインを開催しています。ドラフト候補生に垂直跳びさせたり、短距離を走らせたりして身体能力を測るアレです。

カレッジの選手のことは全然知らないし、まぁ数字だけ測っても本当の力は分からないよね・・とニュースを斜め読みしていましたが、今日は40ヤードダッシュの新記録が出たという報道が。

2008年に記録された4.24秒を上回る、4.22秒をたたき出したのは、ワシントン大学のワイドレシーバー、ジョン・ロスくん。

速いです!オデル・ベッカム、フリオ・ジョーンズと比べてもダントツで速い!


足が速ければワイドレシーバーとして大成するというワケではないでしょうが、おおおおお!驚きの速さ。

実は、コンバインの前にアディダスが「40ヤードダッシュで新記録を出した選手には島をひとつプレゼント」というキャンペーンをしていたんですが、ロスくんはナイキのシューズを履いていたために、島をもらえずじまい。

なんでアディダスを履かなかったの?という質問には

「泳ぐのヘタだし、ボートもないからね。へへへ」

答えていましたが、すでにナイキと契約済みです。ナイキ製コンバイン用特注シューズを着用し、新記録を打ち立てました。


このジョン・ロスくん、現ワシントン・レッドスキンズのWRデショーン・ジャクソンさんに練習をつけてもらうんだそうです。

ふたりともカリフォルニア州ロングビーチの出身。地元の床屋さんで、ロスくんの父親(客)が息子の自慢話をしていたのを、ジャクソンさんの兄だか弟だか(客)が聞き、デショーン・ジャクソンさんが連絡を取ったのだそうです。

デショーン、いいヤツ。後輩の練習を見てやろうとするなんて。

そして、小さい頃はスヌープ・ドッグにコーチしてもらっていたのだという話も。

スヌープ・ドッグ!?ピッツバーグ・スティーラーズの大ファンだとは聞いていたけど、コーチ??と調べてみたら、なんと正式なコーチの資格を持っていました。少年チームや高校でコーチをするってwikiに書いてあった。スヌープ・・へぇ~・・・青少年を指導したいという心を持っていたとは。あなどれん。

ロスくんによると、「実際にコーチしてたんだよ。いつも練習に来てた。ハドルでプレイコールをしていた」とのこと。へぇ~。


ワシントン大のコーチによると、ロスくんはいつもニコニコしていて、いい人柄なんだそうです。タバコも吸わんし酒も飲まんし、パーティでは壁際でボトル入りの水を飲んでいるとは、友人の話。

2015年には膝の靭帯断裂、3月末には肩の手術が控えているので、健康状態がちょっと心配という気もしますが、ドラフトでは1巡目で指名されると見られています。

でもね・・・手が小さいんだよ。8 3/4インチ。これが、なぜかちょっと気にかかる・・・。オデル・ベッカムなんか身長同じくらいで10インチよ。でも、アントニオ・ブラウンは9インチだからそんなに変わんないか・・・。ふっ。どうでもいいか。シロート見ですからね・・・。

2017/03/04

ティム・ティーボウの聖なる挑戦は続く

元NFLクォーターバックのティム・ティーボウさんが、アメリカ大リーグ、ニューヨーク・メッツのスプリングトレーニングに参加しています。

2011年にティーボウ旋風を巻き起こし、デンバー・ブロンコスをプレイオフへ導いたこの人。プレイオフのワイルドカード戦では、319ヤードを投げ、延長戦でピッツバーグ・スティーラーズを29対23で下しました。ティーボウマニア最高潮!でしたよね。

しかし、その後ニューヨーク・ジェッツ、ニューイングランド・ペイトリオッツ、フィラデルフィア・イーグルスと移籍し、ロースターに残ることができませんでした。

2016年には野球転向を発表。メッツの下部チームで、62打席中三振20回、打率1割9分5厘という成績。

そして2017年現在、29歳。野球をするのは12年ぶりで、メジャーリーグ選手を目指してトレーニング中。

専門家は、ティーボウさんがメジャーリーグ選手になるのは無理と見ています。一般の人も、「頑張ってほしいけど、まあ無理だろうな」というのが大方の意見。

大学時代は、全米チャンピオン2回、ハインズマン賞にも輝きました。過去の栄光と、現在の状況を比べてみれば、明らかに堕ちたヒーロー。期待はずれもいいところ。今さら野球なんて、どういうつもり?ティーボウ、いいかげんに諦めたらどう?ハハハハ。と、冷笑する人もいるでしょう。

大きな壁にぶつかって、見事無残に失敗する。そんな状況が5年間も続いています。大衆の目の前で。テレビやニュースの格好のネタになって。

しかしティーボウさんは、そんなこと、これっぽっちも恥ずかしいとは思っていません。

「生きていく上で大切なことはたくさんあるけど、自分の道を追求することも、そのひとつ。しかし多くの場合、未知に対する不安、失敗を怖れる心が間に入ってしまう」

「もし、僕が顔から地面に倒れたら?そしたら、すぐまた起き上がるさ」

5年間ずっとこれを信条にやってきました。

「失敗したらどうする?もしできなかったら?って人はよく言う。だけどね、僕は後悔と共には生きることはない。自分にできることはすべてやった。力を尽くした。後悔なしで、平和な気持ちで生きていく人になりたい。臆病で努力しなかった人じゃなく」

敬虔なクリスチャンとして有名な彼。慈善団体を設立し、積極的に活動しています。講演会やコンファレンスでスピーチすることも多々あります。

「彼の、『失敗の概念』というのは、基本的に他の人とは違うんだ」

と言うのは、キリスト教系大学ウィートンカレッジのフットボールコーチ、マイク・スワイダーさん。

「キリスト教徒として、私たちは、他の人にからかわれたり、馬鹿にされることを気にしてはいられない。ティム・ティーボウが野球選手として出来損ない?だから何だ?少なくとも、死の床で後悔に悩まされることはない。彼は勇敢に自己の使命を追求している。アリーナにいるんだ。もし失敗したとしても、彼は大胆に挑戦して負けたということだよ。冷たく気弱な心を持ち、勝利も敗北も知らない人とは違う」

キャンプでの記者会見では

「究極のゴールは、毎日を楽しむことだ。僕は皆の前に座って、正直にこう言えるよ。トレーニングをしていて本当に楽しい。目標を追う、ヒットを打つ、三振を取られる、そのすべてが」

とも言っていたティーボウさん。こんな言葉も飛び出しました。


「スポーツっていうのは、どのくらいプレッシャーに耐えられるかだろう?でも例えば、12対0を追ってバッターボックスに立つのと、生きるために奮闘するのと、どっちのプレッシャーが強いのかな?ハイチの路上にいる体の不自由な人と比べたら?社会に必要なしと言われた人と比べたら?ゴミ箱に捨てられる人と比べたら?

比べる必要もないだろう。スポーツはあくまでもゲームだ。もちろん真剣に取り組む。ありったけの時間を費やし、力の限り努力する。

しかし、僕はそのためにここにいるんじゃない。それが最大の目的、使命じゃない。フットボール選手として、野球選手として僕を覚えていてほしいわけじゃない。努力をして何かを成し遂げた人、というのでもない。人生はそれよりも、もっと大きい。

暗い場所で助けを必要としている人たち、その人たちの一日に光を灯したい。信じる心、希望、愛を届ける人間になりたいんだ。

それが自分の使命だと信じている。スポーツよりも大きなものだ。

スポーツ選手として、このような場所を与えられたことには、とても感謝している。だって、そのおかげで世界中の人と愛や気遣う心を共有することができたんだもの。代え難いものだと思っている」

ティーボウ・・・何やねん、この人・・・。

ティーボウは、自分の体を張って、私たちに見せてくれているのかも。

「失敗してもいいんだぞ」って。「やってみろよ」って。「他人にどう思われたっていいじゃねえか」「後悔すんなよ」って。「生きてみろよ自分の人生を」って。

自分の真実を追って、今は野球に挑戦しているティム・ティーボウ。「あなたは真実を知り、真実はあなたを自由にする」とは、聖書の有名な言葉ですが、ティーボウさんはどんな真実を見つけるんでしょう。

ティーボウ、あんたどこに行くんや・・・。

2017/03/01

けっこうサイコなペイトン・マニング話

みなさま、オフシーズンをいかがおすごしでしょうか。

なんか気が抜けちゃったよ、チェ~・・・と私もダラダラしていましたが、いつまでもノホホンとしているワケにもいくますまい。この辺で気持ちを入れ替えて、来シーズンに備えることにします!

ということで、突然ペイトン・マニングさんに話題を振ってみました。

2015年シーズンを最後に引退した名クォーターバック。人当たりのよさそうな風貌とは裏腹に、フットボールに賭ける執念はすごいらしい。(フットボールの選手は大概そうなんでしょうが)「試合への準備がハンパない」とか、「スナップ前のオーディブルで戦略を変えまくる」とか、かねがね耳にしていました。

そしたら、「ペイトンすごい話」で盛り上がっているお二方を発見。ピーター・キングさんというNFL記者の方と、マイアミ・ドルフィンズの現ヘッドコーチ、アダム・ゲイスさんが、ポッドキャストでペイトンさんの噂話をしていたんですよ~。

ペイトン・マニングさんがデンバー・ブロンコスに在籍当時、アダム・ゲイスさんはクォーターバックコーチ、のちにオフェンシブコーディネーター。年齢はゲイスさんが2歳年下とあって、どっちがコーチか分かりませんが、とりあえず親密な仲だったようです。

まず、キングさんの話。

ペイトンさんがテレビ出演をしたあと、それについての記事をキングさんが書くことに。ペイトンさん一人称での文章になるので、まずペイトンさんが自分の経験を口頭で録音したボイスメモを転送。5つ、6つの長いメモを受け取ったキングさんは、それに基づいて文を書き起こし、それを2人で推敲していくことになります。

キングさんが原稿をペイトンさんに送った日、ペイトンさんが望む完璧な文章になるまで、2人で交わした電話の回数は、なんと24回。

また、アダム・ゲイスさんによると

とにかくあんなに些細なことまで全部知りたがる人は見たことがない。ブロンコス施設で働いている人が、どこでどんな仕事を、どんなふうにしているかまで知りたがった。

コーチにはいつも質問を用意していた。答えられないと、はっきり指摘された。コーチとしても挑戦だった。何時でも周到な準備を整えている必要があった。

ディフェンスの出方によって、戦法を2つも3つも用意していた。「オレがディフェンスを見るように、コーチも見てほしいんだよ」とゲイスさんに語っていた。(試合の只中にいるQBは隅々まで目が届かないハズなのに)そして、相手を一瞬見て、プレイをすばやく変えるその情報処理能力がすごい。

試合前の1週間、ボイスメモ、Eメール、電話、朝食のテーブルで、とにかくゲームプランを試合開始の直前まで話し合っていた。選手にとって必要な睡眠時間に支障をきたすほど執拗に。ゲイスさんの言葉を借りると、「2人のサイコパスが完璧なゲームプランを練り上げようとしていた」とのこと。

すごいですね・・・。24時間フットボール100%感。

こんな話、もっとあるそうですよ。「そのうち公表してやるから」ってゲイスさんがペイトンさんを脅しているとw

フットボールをしている人って、みんなこんな風なのかも知れません。頭の中がフットボールのことばっか。去年は大学フットボールのコーチが、大統領選挙があった次の日に、「大統領選挙があったなんて知らなかった」「誰が勝ったのかも知らない」って、真顔で語っていましたよ・・・。

ということで、ゲイスさんとペイトンさんのなつかしの写真。


ペイトンさんにプレッシャーをかけられ、プレイコーラーとして成長したと語るアダム・ゲイスさんは、昨シーズンに38歳という当時最年少でNFLヘッドコーチに就任しました。1年目の成績は10勝6敗。マイアミ・ドルフィンズは、8年ぶりでプレイオフに出場。それも、1勝4敗で始まったシーズンを巻き返して。

すごいじゃないですか。QBライアン・タネヒルさんも力を伸ばしたような気がするし(よく分かんないけど)、シーズン途中に2、3年前にドラフトで取った選手を容赦なく解雇するという厳しい姿勢にも唸りました。ゲイスさん、結構やるじゃないの~。ドルフィンズファンの方は、来季が寄せる期待が大きいのでは。

ペイトンさんの方は、引退をエンジョイしているんでしょうか。先日は、地元ニューオーリンズで、マルディグラのパレードを見ていたそうな。有名人なのに、特等席じゃないんだ・・・。みんなの後ろ。

イーライがうれしそうww